【介護施設は大学だ!】嶺北発で介護業界に新たな風を吹き込む澤本さんに話を聞いてきた!

世界最先端レベルで高齢化が進行する日本。

介護の需要はどんどん高くなっていくと予想されており、老老介護・施設不足・高齢者の一人暮らしなど多くの課題が挙げられています。

このような状況下で、介護に対して「困難である」「大変なこと」といったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?

しかし、高知嶺北地域には、そんな介護に対して「新しいの視点」を持って活動しているデイサービスがあります。

その施設の名前はデイサービス長老大学。

今回は、高齢者の皆様と共に未来をつくるを理念に掲げ長老大学を運営している澤本洋介(さわもとようすけ)さんに、取り組みを伺いました。

地域密着型!デイサービス長老大学

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長老大学を運営する澤本洋介さん(写真左)

澤本洋介(さわもとようすけ)さん

千葉県出身。カヌーが大好きで、きれいな川の近くに住みたいと、2005年に高知県の高知市に移住。2年後の2007年に本山町へ2段階移住。はり・鍼マッサージやケアマネージャーの事業所運営を経て、現在はデイサービス長老大学を運営している。

ーーー長老大学とは、どのような施設なのでしょう?

長老大学(ちょうろうだいがく)とは、地域密着型の通所介護施設です。

ーーーありがとうございます。長老大学デイサービス形式でのサービスを提供されていると伺いましたが、具体的にはどのようなサービスなのでしょうか?

まず、朝にご利用者さんの自宅までお迎えに行きます。

日中は体操をしたり、お食事をしたり、お風呂に入ったり…。

そういった活動をしまして、夕方になりましたら自宅へお送りします。

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長老大学の施設内にある日本庭園

ーーーこんな日本庭園が施設内にあるんですね!

そうですね!

以前は本山町の寺家という場所で長老大学のサービスを行なっていました。

ですが2020年8月より、本山町の吉野へと移転したんです。

新しい施設では広い日本庭園があり、池には魚が泳いでいます。

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「りゅうきゅう 」という高知の伝統野菜

また敷地内には畑もあり、ゆくゆくは野外型の機能訓練として農業に取り組んでいきたいと考えています。

川遊びが好きすぎて移住し長老大学を設立

ーーー次に、長老大学を設立するまでの経緯について教えてください。

移住前は、千葉県の習志野市に住んでいました。

はり・鍼マッサージの仕事をしながら、休日は川遊びによく出かけました。

ーーー川遊び…ですか!

はい。カヌーがとても好きで、房総半島や栃木県まで毎週通っていました。

いつかは川がきれいな場所の近くに住むのが夢だったんです。

ーーーそこで、高知県へ移住されたんですね。

はい、高知県には日本でもトップクラスのきれいな川がたくさんあります。まずは高知県の中心で暮らしも便利な高知市に移住を決めました。

ーーーその後はどういう経緯で本山町へ移住されたのでしょう?

今までは高知市から川へ通っていたのですが、それだけでは満足できなくなり(笑)

高知市内から、本山町へ移住しました。

ーーーなぜ本山町を選ぶことになったのでしょうか?

本山町は汗見川があり、しかも病院やスーパーが近くにあります。

川遊びだけでなく生活することを考えた時にも、本山町は魅力的でした。

ーーー本山町へ移住した後は、いかがでしたか?

本山町への移住後は、子育てや田舎暮らしなど初めてのことがたくさんありました。

子供の学校のことで悩んだときには、元先生の高齢者の方がじっくり話を聞いてくれたり、アドバイスも頂きました。

また地域で何かに取り組む際、どこから話を通すとスムーズなのか…など、事業を起こす上でも支えて頂きました。

ーーーなるほど・・・。そんな環境で、長老大学を設立するきっかけは何でしたか?

もともとは、本山町の社会福祉協議会さんでケアマネージャーをしていた妻の独立から始まりました。

妻の「ケアマネージャーの領域に特化してキャリアを歩んでいきたい」という意向を尊重し、ケアマネージャーの事務所である居宅介護支援事業所を作ったんです。

居宅介護支援事業所とは、ケアマネージャーが常駐している事業所のことを指す。居宅介護支援事業所では、居宅サービス計画の作成のほか、介護相談、必要なサービスの連絡や調整、介護保険に関する申請の代行を行う。

参考:フランスベッドHP

ーーーケアマネージャーとはどういった仕事だったのでしょう?

ケアマネージャーは、介護の計画を立てることを通じて、その方の生活を支える仕事です。

介護度やその方の状態によって使える介護サービスや保険に使える最大の金額が決まっているので、どんなサービスを使ったらその人らしい生活ができるかを皆で考えます。

計画を立て、実践した後も毎月振り返りを行い、より良い計画を作るんです。

ーーーケアマネージャーをされる中で、どのような気付きがあったのでしょう?

当時、本山町にはデイサービス施設が1件のみだったんです。

デイサービスが1件だけだとどうしてもそこに合わないな、と思う方がいらっしゃいます。

実際にケアマネージャーとして担当させて頂いたご利用者さんの中にも、「少し合わない」とおっしゃる方もいて…。

ーーー人と人だから、どうしても合わないこともありますよね。そういった方はどのような選択肢を取るのでしょう?

専門職として必要性を感じるため施設をおすすめしているのですが、それでも合わないと感じると、デイサービスに行かないという選択肢を取られる場合が多いです。

しかしずっとお家にいらっしゃると、家族との距離が密接になりすぎて、トラブルの原因となってしまう場合もあります。

また1人暮らしの方はずっと寝続けてしまうことで体の機能が低下したり、昼夜逆転が起こることもあります。

ーーーそうなんですね…!そのような実態までは知りませんでした。

通所のデイサービスに行かないとなれば、自宅を訪問しての介護サービスが中心になるのですが、やはり訪問サービスだけではケアが難しい場面も多いです。

よってそういった方々の生活を支えるためには、通所サービスは本当に大事だと思いました。

こうした地域課題の解決、かつ自分の事業を持つことができるのがデイサービス長老大学でした。

こうした背景から、設立に至ったんです。

聞き書き介護で、活き活き楽しく

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ご利用者さんの側で話を聞く。

ーーー長老大学の特徴とは何ですか?

長老大学では、聞き書き介護という活動を行っています。

ご利用者の皆様の昔の仕事や暮らしのこと、今考えていること・感じていることを聞かせて頂き、記録する活動です。

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聞き書きメモは1000を超える。

ーーーすごい量のメモですね!!ちなみに、聞き書き介護を行おうと思ったきっかけは何でしたか?

民俗学者でもあり介護職でもある六車由実さんが書かれた本を読んだことです。

そこで聞き書き介護のことが書いてありました。

この方法は、お話しが好きなご利用者さんにピッタリだと考えたんです。

ーーー実際に聞き書き介護を取り入れてみて、いかがでしたか?

昔のお話や自分の考えをお話しするご利用者さんは、とても楽しそうなんです。

中には「素手で鹿を捕まえた」などの武勇伝を聞かせていただくこともあります。

素手で鹿を捕まえた思い出

猟に行って大杉の国道を歩きよったらね、鹿が向こうから川を渡ってきたのよ。向こうで猟師が追いよったもんじゃね。

川を渡って国道まで上がってきたもんじゃから、こりゃ抑えちゃろうと思って。

こんなく(所)じゃ鉄砲は撃てんけね。

3人ばあ居ったけんど、ワシが最初に抑えた(笑)

長老大学ブログより

ーーー鹿を素手で!?今では考えられないくらいエキサイティングなお話しですね!

ご利用者さんが、笑顔で何度も繰り返してくださるお話しです。

お話ししてくれる武勇伝は、聞いているだけで本当に楽しいですね。

かつて、私が子育てのことや事業のことで、地域の方の力をかりたように、お年寄りから学べることってたくさんあるんですよ。

ーーーなるほど・・・。介護サービスを提供する側も長老大学で「学ぶ」んですね!!

オンライン聞き書き介護 はじまる

ビデオ通話を楽しむ90代男性ご利用者さん
オンライン聞き書き介護の様子。今はオンラインでもマスク着用です。

ーーー現在はコロナウイルスの影響で活動しにくい点があると思うのですが…

聞き書きは、ご利用者さんの近くでコミュニケーションを取って行います。

よってコロナウイルス感染拡大防止のため、以前のような密接な距離での聞き書きは、最近では行っていません。

ーーーいまの状況を考えると仕方がないように思います…

ですが会話の機会が少なくなってしまうと、ご利用者さんが不安になったり、今まで意識していなかった体の痛みを感じ始めることもあります。

よって少しでも聞き書きを再開して会話の機会を増やそうと、オンラインの聞き書きを始めました。

iPadなどを使ってビデオ通話を介し、聞き書きを行うんです。

ーーーそれは素晴らしい取り組みですね!

オンラインであれば、長老大学のご利用者さんだけでなく、県外の方へも聞き書きを行うことができます

ーーーなるほど!グッと幅が広がりますね。

現在は、東京都の方へオンライン傾聴サービスを行っています。

コロナ禍で介護サービスのご利用を控える中でも「生活にメリハリがつき楽しく過ごすことができている」と嬉しい評価を頂いています。

地域によって昔遊びや価値観にも違いがありますので、いろんな地域の方からお話を聞かせて頂けるのが楽しみです。

ーーーコロナウイルスの影響でピンチな状況なのかと思いましたが、この状況を逆手に取って新しい取り組みも始められているんですね!オンライン聞き書きの可能性を感じます。

そうですね。より多くの方のお役に立てるように取り組んでいこうと思います。

ーーー先進的な取り組みを嶺北発でされていることを非常に誇らしく思います!今回は貴重な機会を頂きありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうござました!

このメディアの運営者

田舎ディベロッパー君

高知県嶺北地方をPRする『れいほくTV』の編集長 普段は、藤川工務店で田舎を開拓する仕事に幅広く従事! 好きな食べ物は、『きゅうり・キウイ』などミドリの食べ物。 冷静沈着に淡々と事を進めるのが得意。

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