東京、埼玉、横浜と渡り歩いて30数年。漫画家の尾崎さんが嶺北を選んだ理由とは?

自然に囲まれ、自給自足。

誰もが一度は憧れる生活ではないでしょうか?

高知県の嶺北地域は、そんな自給自足生活ができる場所。でも…

  • 自給自足って移住者には無理じゃない?
  • 実際はどれくらい大変なの?

こんな疑問、ありませんか?

そんなアナタのために!!

今回は50代で嶺北地域に移住し、ゆるく自給自足を目指しているおざきたつひろさんを取材しました!

嶺北への移住は即決!!「ビビッと来た」

おざきたつひろ@shippozakiさんのプロフィール

北海道出身の56歳。東京で数十年働いた後、54歳で嶺北地域の本山町へ移住。「ゆるく暮らす」をモットーに自給自足するため自然農を営む。今年度からシェアハウス「ときのわ壮」の管理人として運営をスタート。おざきさんのブログはこちら

ーーー移住される前は、どんなお仕事をされていたのでしょう?

18歳の時から東京でアニメーションの仕事をしていました。

子供の時から絵を描くのが好きで、仕事になった時はとても嬉しかったです。

ーーー絵を描くお仕事は、いつまで続けられたのでしょう?

アニメーションの次は、マンガ業界へ移り働いていました。

ですがそんな中、頭に関する病気をしてしまったんです。

ーーーそれは、絵を描き続けたことが原因だったのでしょうか?

激務が原因だったと思います…。

マンガを書く仕事は、常に締め切りに追われています。

そのため、食事・睡眠以外の時間は常に絵を描いていたんです。

おざきさんが描いたブルース・リー。

ーーーそうだったんですね…。ご病気を経験されて、価値観の変化があったのでしょうか?

好きで始めた仕事だったのに、自分の中でなぜか嫌な部分を感じるようになっていたんです。

それが何なのかを、病気になって初めて気付きました。

ーーーその「嫌な部分」とは何だったのでしょう?

無理に仕事をやらないといけないことですね…。

体に無理のない範囲で楽しく絵を描ければ理想です。

ですが、それではお金が足りず生活することができません。

ーーーなるほど…この経験から「仕事としての」絵描きを止めることになったんですか?

お金がないと生活できないという状況下で、働き詰めになるしかないことが嫌でした。

これに気付き、マンガ業界からは少し距離を置くことにしたんです。

おざきさんが移住前に住んでいた場所

ーーーそれ以降は、どんなお仕事をされたのでしょう?

寮の管理人です。

この仕事は、かなりのんびりする時間ができました。

その時間で、これからの将来のことを考え、移住の準備をしていったのです。

ーーー移住を意識するきっかけになったことは何だったのでしょうか?

病気を経験してから、お金に振り回されず生活する方法について考えていました。

その一つの解決策として、自給自足があったんです。

ーーーどういうことでしょうか?

都会ではお金がなければ、食べ物を買うことができません。

なぜなら「土」がないからです。

対して、田舎でも農業をしなくてもスーパーで食べ物は買うことができます。

ですが、自分で農業をするという選択肢も選べます。

この選択肢の多さが、お金に振り回されない生活に繋がると思ったんです。

ーーーなるほど…移住を考える中で、嶺北を知ったきっかけは何でしたか?

まずは移住地域などについて本で勉強をしたんです。

その中で目についたのが、嶺北地域にある本山町でした。

ーーー実際に足を運ばれたんでしょうか?

はい、車で本山町に向かった時のことをよく覚えています。

本山町は高知県の中心にあるのですが、そこへ向かっていくうちにどんどん体が元気になるのを感じたんです。

「ここだ」と直感的に、思いました。

ーーービビッと来たんですね!!!

ビビッと来ました(笑)

やはり移住先を決める時は実際に足を運んで肌で感じてみないと分からないですね!

ーーー移住する上で、大変だったことなどありましたか?

やはり最初の難関は住む場所を見つけることです。

空き家はたくさんあるのですが、そこを貸してもらうには、地域の方と繋がりを作る必要があります。

ーーーでは、移住後すぐはどちらに住まれていたのでしょう?

クラインガルテン本山、という町の施設です。

クラインガルテンは農園付き住居で農機具を貸してもらうことができます。

ここで自給自足生活を始めつつ、時間をかけて地域の方と知り合っていきました。

クラインガルテンの基本情報
・利用条件:嶺北地域外に住んでいる人など
・和室、キッチン、ロフト、バス、トイレ、テラス付き!
・1区画年額40万円、敷金10万円
詳しくはこちら
http://www.town.motoyama.kochi.jp/download/?t=LD&id=820&fid=2837

自給自足で「ゆるく」暮らす

ーーー現在の活動を教えて下さい。

今は自給自足をするために自然農法で畑や田んぼをしています。

ーーー自然農法というと、どういった農業なのでしょうか?

化学肥料などを使わずに、ほとんど放っておくような農法です。

できる限り耕さず、草刈りも最低限しか行いません。

ーーー農業には色々な方法がありますが、どうして自然農法を選んだのでしょう?

まず、色々な農法の中でも「楽」そうですよね(笑)

土の力に任せるので、人間の力は最小限で済みます。

しかも自分の中で自然農法は遊びのようなものなんです。

ーーー遊び…!?詳しく聞かせて下さい。

自給自足と言っても、苦しみながらやるのは本末転倒です。

私はゆるく暮らすという生き方がしたくて嶺北へ来ました。

忙しく働くというより、気が向いたら畑に行くような「ゆるさ」が良かったんです。

ーーーなるほど!移住して良かったと思う瞬間などはありますか?

ふと見上げた時に広がる壮大な風景を見た時ですね。

例えば、田植えの季節。

私の田んぼは、田植えを手作業で行います。

つまり、一本一本手で植えていくんですね。

ーーー手植え!?それは大変です!

はい、とても大変です(笑)

熱中しているうちに時間が経って、そろそろ休憩かと思いふと視線を上げる。

辺りを見回すと、高知の山々、川の流れる音、爽やかな風…

最高ですよね!!

やっぱりここを選んで良かったと思う瞬間です。

ーーー最高ですね!!高知県の風景は、本当に壮大です。

「ゆるさ」とは力を抜くことではない

おざきさんが管理人を務めるシェアハウス「ときのわ壮」

ーーーそれでは、これからのビジョンを教えて下さい。

今までも、これからも「ゆるく、好きなことをやって生きていく」が人生のテーマになっています。

自給自足も続けながら、今年度からシェアハウスの運営もしていくつもりです。

ーーー新しいことに挑戦されているんですね!「ときのわ壮」のコンセプトはありますか?

ここでも、「ゆるく生活する」というのがコンセプトですね(笑)

なので、シェアハウスでは料理当番もルールも作らないのが理想です。

それぞれが好き・得意を活かせば、きっと生活は回っていくと思います。

ーーーおざきさんの言う「ゆるさ」とは何なのでしょう?

私の思う「ゆるい」はグータラ生活をするということではありません。

やりたくないことを強いられて、無理してすることをしない。

好きなことなら何時までも出来るし、疲れない。

そちらの方が、合理的です。

こんな考えのもとで、自分が楽しい・好きと思うことをするという意味の「ゆるい」です。

「ときのわ荘」から続く裏道は、ゆったりとした時間が流れています。

ーーー最後に、今移住を考えている人にアドバイスをお願いします。

私の経験上、移住後は2つの段階に分かれます。

まずは貯金がある段階、次に貯金がない段階です。

田舎はゆるい、と思って移住してもお金がないと焦って不安になってしまいます。

「貯金がなくなった時からが移住の本番だ!」

こう思った方が、もしもの時に気は楽かもしれないですね。

ーーーおざきさんもこのような経験があるかと思うのですが、どうやって乗り越えられたのでしょう?

自給自足とゆるい生活、この2つをバランスよく行っていくことです。

自給自足で食べ物が手に入れば、あとは少しのお金を草刈りなどで稼げば生きていけます。

無理せず自分の理想の生活に仕事を当てはめていく、というイメージですね。

ただそうは言っても、奥さんがやりたがって勉強していたことが仕事になり、収入になったことが助かっています。

必要な時に必要なものが手に入ると信じているし、自分の人生はそうであったので、その流れのままです。

ーーーなるほど…とても参考になりました!今回はありがとうございました!

頑張りすぎな日本人に、「ゆるさ」は必要だ

「ときのわ荘」は不思議な家の構造。(中央のはしごを上ると、奥にも部屋が。)

日本人の特徴としてよく挙げられるのが頑張りすぎ。

何でも頑張ってしまい、ついには自分の身も削って他人の期待に応えてしまいます。

だからこそ、立ち止まって考えてみる機会が必要だと思います。

どのように生きるのかは自分で決めることができるのです。

ゆるく生きてみたいな…と思った方は、是非「ときのわ荘」に足を運んでみて下さい!

ときのわ荘の情報

  • 場所:高知県本山町
  • 期間:無制限(長期滞在も可能)
  • 敷金•礼金   0円
  • 家賃 3万8千円/月(光熱費など込の料金)

詳しくはこちら

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