【むかし暮らしって何?】嶺北で理想の暮らしを追求する笹の家に潜入してきた!

食べるものはなるべく自分たちで手作りし、水もエネルギーも自給する。

お風呂は五右衛門風呂、料理は薪や炭で…

何とも興味をそそられる暮らしです。

高知県の土佐町に、そんな暮らしを自ら実践しつつ、外部の人に向けて暮らしを体験できる宿を運営している家族がいます。

不便で豊かとは、どのような暮らしなのでしょう??

はじめてなのにどこか懐かしい暮らしを、少し覗いてみました。

むかし暮らしの宿 笹のいえ とは?

赤い屋根の母屋とその前に広がる田畑。

むかし暮らしの宿 笹のいえ
20年間使われていなかった古い民家を改修し、釜戸や五右衛門風呂を復活。母屋の一室をお客さんと共有し、少し不便だけど豊かな「むかし暮らし」の宿として運営している。FaceBookはこちら

笹のいえとは、古民家の宿泊施設です。

運営者である渡貫さんが土佐町に移住した2013年から2年経った、2015年に宿泊施設としてオープンしました。

ここでは宿泊するだけでなく、渡貫さんら7人家族の生活の中に入り、むかし暮らしを共有することができます。

暮らしの特徴は、主に二つ。

  1. 身近にあるものを使っているということ
  2. 他の人が使わなくなったものをできるだけ使うこと

あるものを使って生活を作っていくといった体験が、ここではできます。

笹のいえという施設名は、もともと家の屋号「笹」から取ったそう。

国内だけでなく海外からも人が訪れ、渡貫さんら家族とともに生活をするそうです。

それでは、そんな笹のいえでの暮らしを、見せていただきましょう。

少し不便で豊かな暮らし

年季が入ったカマドは今でも現役

まず紹介して頂いたのは、キッチン。

左に見えるかまどは、ずっと前からあったものですが、今でも現役。

そして棚などは自分たちで手作りしたもの。

そこに使用する材料も自ら調達していると言う渡貫さん。

奥に見える食器棚の扉部分は仏壇の一部分だそうです…!

空き家の解体作業の時に出る廃材も、丁寧に剥がせば使えるものばかり。

渡貫さん「解体現場でお手伝いする代わりに、廃材をもらってくることもあります。」

カセットコンロを取り出す渡貫さん。

冬の間は薪で暖をとりながら料理をするそうです。

また、急ぎの時に便利なカセットコンロも常備されていました。

キッチンの隣にはご飯を食べる部屋が。

棚に並んでいるのは嶺北在住アーティスト川原将太さんの作品。

川原さんと渡貫さんは移住してきたときからの遊び友達。

取材当日も、川原さんが笹のいえへ遊びに来ていました。

コンポストトイレ。壁には子どもたちの絵や張り紙が楽しい。

次に見せていただいたのは、コンポストトイレ

もともとはボットン便所だった場所を埋め立て、バケツを用いたコンポストトイレへと改修したそう。

渡貫さんによると「自分たちから出たものも循環させたかったので、コンポストトイレを作ることにしたんです。」とのこと!

便座が二つあるのは、大小便を分けるため。

大便は刈り取った雑草などと混ぜて土に戻してから、小便は水で薄めてから畑へと還します。

宿泊時はこのお風呂に入ることができる。

こちらは五右衛門風呂

改修前は釜が割れていて使えませんでした。

それを外して、かまどから作り直したそう。

ここでも薪を使ってお風呂を沸かします。

沢から水が引けるのは、家を探す上で一つの条件だった。

水も、水道ではなく沢の水を引いているそうです。

最近は雨が少ないらしいのですが、これだけの水量が!

黒いホースから絶え間なく水が槽に溜められ、まさに使い放題

渡貫さんは「美味しい山水が好きなだけ利用できるのは豊かですよね。

移住する上で一番大切にしたかった条件の一つがこの水。なるべく自然に近い水を使いたかったんです。」と言われていました!

生活排水は畑に流れ、最終的には川に入るようになっているため洗剤は使いません

歯磨き粉も使っていないそうです。

大きな樽には大豆と小麦がぎっしり。

味噌や酢など、調味料もできるだけ手作りしています。

この樽に入っているのは発酵中の醤油もろみです。

これは醤油こうじを購入して、塩と水で混ぜたもの。

1年くらい発酵をさせた後に搾ると、醤油の完成です。

真ん中の下半分に注目。プツプツ泡が見える。

ぷくぷくと泡が出ているのは、発酵している証拠。

舐めてみると塩っけが強く、この段階では「まだ発酵が浅い状態」なんだとか。

左奥に見えるのが笹のいえの母屋。

家の前には、田んぼと畑が広がっています。

前を歩く渡貫さんの左にあるのがコンポスト

生ゴミなどを堆肥化し、畑に戻します。

アサツキ。両端には竹が置かれている。

基本的に野菜は無肥料・無農薬育てているそうです。

写真にあるのは、アサツキというネギのような植物。

畝の両端に竹が置かれているのは、放飼している鶏が土を掘り起こして野菜が痛むのを防ぐためのものです。

また、こうすることで雑草を生えにくくする、マルチのような働きをしてくれるのだとか。

採卵用として飼われている鶏。

鶏たちは採卵用。

卵を産まなくなったお母さん鶏や、歳を取った雄の鶏は、捌いて食べることもあるそうです。

ポリタンクの中に入っているのは、天ぷら油!?

そして驚くべきは、使用済みの植物油、つまり廃油で動く車です。

このポリタンクに入っているのは、使わなくなった食用油など。

地域内の飲食店で使い終わった廃油をもらって来て、濾過した後、車を動かすエネルギーとして再利用するのです。

渡貫さん「燃料代は、ほぼタダでこの車を走らせています。」

渡貫さんが指差す先は、廃油が入ったポリタンクに繋がる管。

渡貫さんのハイエースはディーゼルエンジンが使われており、通常は軽油で動きます。

ですが配管に廃油を流す管を加え、軽油と廃油を両方使える状態にするのです。

レバーの目印で書かれているのは「天プラ」!?

天ぷらの廃油を使うことから「天ぷらカー」として知る人ぞ知るこの仕組み。

軽自動車と比べると車両税や保険が高額になるなどデメリットもあります。

ですがゴミになってしまう廃油を再利用するなど、それを上回るメリットも感じているそうです。

廃油と軽油を切り替えるレバーにも、「天プラ」の表記が。

これからの「笹のいえ」

外でおやつを食べる月詠(つきよみ)ちゃんと耕丸(たがまる)くん

渡貫さん一家では、2ヶ月前に「たねちゃん」という女の子が誕生し、7人家族に。

それに伴って、現在生活している母屋だけでは窮屈になってきたそうです。

渡貫さん「これからは小屋を建てて荷物を移動させたり、子どもたちが遊べるような場所を作りたいと思っています。」

そこで使うのは、今までストックしてきた廃材。

木材だけでなく、窓や扉なども使うことができます。

最近では廃材もどんどん溜まってきたため、片付けながら建物を作っていく「片付け建築」をしていこうというのです。

「ないものは買いますが、できるだけあるもので作ります。

遠くの方からエネルギー使って持ってくるよりも、身の回りで代わりになるものがあるんだったら利用して暮らしに役立てたい。

お金も少なくて済むし、そっちの方がより少ないエネルギーで生きることができます。」

そう言われていた渡貫さんの優しい笑顔が印象的でした。

取材後記 あくまでも自分視点で

取材後に頂いた梅のクッキー。甘酸っぱくて美味しかった。

取材を通して印象的だったのは、渡貫さんが自分たちの生活を紹介する上で、「持続可能」といった言葉を使っていなかったことです。

今、SDGsの制定などでサスティナブルへの関心が高まる中、渡貫さんの暮らしは全てが自分視点だと感じました。

「これはこう循環しているから持続可能だけど、これは持続可能じゃない…」という線引きがあるのではなく、あくまで自分にとって良い暮らし

つまりお金が少なくて済む、互いの顔やつくられた過程が見えることで安心する、資源の豊さを感じる、そういった自分にとって心地よい暮らしなのです。

今回の取材を経て、持続可能とは何か、暮らしとは何かを問い直すきっかけになりました。

このメディアの運営者

田舎ディベロッパー君

高知県嶺北地方をPRする『れいほくTV』の編集長 普段は、藤川工務店で田舎を開拓する仕事に幅広く従事! 好きな食べ物は、『きゅうり・キウイ』などミドリの食べ物。 冷静沈着に淡々と事を進めるのが得意。

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