「これって食べられるのかな?」野食×パーマカルチャーの実践現場に潜入してみた!

持続可能」「SDGs」というのは、最近メディアで取り上げられることが多く、今を生きる上では大事なキーワードとなっていますよね。

今回は、そんな持続可能な生活を目指し「パーマカルチャー」と「野食(やしょく)」という新たな概念を掛け合わせて暮らしている西谷紅葉さんにお話を聞いてきました。

「持続可能」「パーマカルチャー」「自給自足」などのワードにピン!ときた方はぜひご覧ください。


※野食(やしょく)とは造語で、自然界にすでに存在する山野草やきのこ、生き物をいただくという意味。

※パーマカルチャーとは、パーマネント(永久の)とアグリカルチャー(農業)あるいはカルチャー(文化)という言葉を組み合わせた造語。人間と自然が共生して持続的に生きていくデザイン体系を意味する。

足元からできる、自然にやさしい暮らし

西谷さんが移住当初から住まれているご自宅

西谷紅葉さんのおうち

2015年に土佐町へ移住してこられた、西谷さんが賃貸としてお借りしているおうち。

コンポストトイレ、薪風呂、薪ストーブ、生ゴミコンポストなど、土に近い暮らしを実践されている西谷さんのおうちには、面白い取り組みがたくさんありました。

こじんまりとした、平屋のおうちに、緑あふれる畑と、手作りのニワトリ小屋。

西谷紅葉さんのおうちに到着すると「こんにちは〜!」と温かい笑顔で迎えてくださいました。

さっそく、紹介していただいたのは「トイレ」。

このあたりの地域では、ボットン便所という汲み取り式のトイレが一般的ですが、西谷家では、排泄物を循環できるように「コンポストトイレ」と呼ばれるものを導入しています。

排泄物を土に還すために取り組んでいるコンポストトイレ

より手軽に、楽にできるように「自然にカエル」という生ごみ処理機を活用されています。

おしっことうんち、大小を分離して、排泄物の処理がなるべく早く、腐敗をしない、よい状態で発酵できるようにしています。

畑にあるコンポスト。野菜屑や排泄物など、なんでも土に還す便利な場所

畑に設置している囲いの中に、日々の暮らしで出る排泄物や生ゴミなどを入れておき、しばらく置いたら、コンポストトイレで使っている生ごみ処理機で熱を起こし、その後は蓋つきの容器で発酵させ、数年間、放置させるそうです。

すると、土づくりにも使える肥料ができあがっているそうで、手間はかかるけど、無駄のない、とても素晴らしい仕組みが、そこにはありました。

西谷さんの家の目の前の畑

家の目の前には、ほどよいサイズの自家菜園があります。

コンパニオンプランツという、違う種類の野菜を一緒に植えることで、成長促進や病害虫対策となる方法を試されているそう。

ここでは日々食べるお野菜を育てていて、ニワトリもお天気のときは放し飼いをされています。

ニワトリは卵と肉用に飼育

家を一歩出れば、たくさんの山野草も生えています。

そんな、野山にあるものを活用するのも、西谷さんのいう「野食」の活動のひとつ。

ちょうど取材に訪れた時期は、4月のタケノコがたくさん採れる季節。

取材日の数日前に、たくさんのタケノコを裏山で収穫されたそうで、その一部は干して、保存食にもされていました。

たけのこの天日干し

西谷さんのおうちでは、エネルギーとして薪も活用します。

いただいた廃材も活用して、日々使う薪ストーブや薪風呂に無駄なく使っています。

夏は薪いらずでお湯が出るシャワー付き

太陽光温水器が設置されているので、夏にはなんと触れないほどの熱いお湯が出るんだそう。

なので、冬は薪をたくさん使いますが、夏にはほとんど使わないという生活です。

すべての生活排水は家の裏のここに流れていく

生活排水は家のすぐ裏の用水路を通って流れていきます。

だから、合成洗剤や環境負荷の高い洗剤はなるべく使わない暮らしを心がけていんだとか。

そうすると、へどろがたまるので、年に数回掻き出して、それもコンポストに入れて、土に還すことをされています。

排水だけど、サワガニや赤虫がいたり、オニヤンマが卵を産みにきたり、みていておもしろい排水だと、西谷紅葉さんは嬉しそうに話してくださいました。

排水路にオニヤンマが卵を産む様子
引用先:自給力を高めるための「使わない」という選択肢(西谷さん運営ブログ「あ!やせいのせんぎょうしゅふがあらわれた!」より)

環境にやさしいってなんだろう?

いつもの散歩道
引用:西谷紅葉さんTwitterより

すでに環境のことをたくさん考え、行動されている西谷紅葉さんですが、さらに今後はやりたいことがあると言います。

そこで、目標とされる「パーマカルチャー」と「野食」を掛け合わせた暮らしについて、詳しくお聞きしました。

ーーー「パーマカルチャー」と「野食」を掛け合わせた暮らしをしたいということですが、西谷さんが考える、それぞれの定義を教えてください。

僕の中でのパーマカルチャーとは、排泄物を土に、快適に、楽に、ベストな形で還す。そして、それが豊かな暮らしにつながっていくことだと思っています。

野食とは誰かがつくった造語なんですが、その名の通り、野生食材すべてのことです。

野にあるものを、的確に活用したいという想いがあります。

ーーーそこを目指すきっかけはなんだったのでしょうか。

きっかけは、子どもが生まれたことで、自然の中で育てたいという気持ちがありました。

しかし、自然に身を置いていて、よくよく観察してみると、豊かだと思っている自然は生物多様性が謳われていますが、果たしてそれって本当なのかと疑問を抱きました。

環境のことを言いながら、環境負荷の高いプラスチック製品を買ったり、日々の買い物をしていることを考えると、それって自然に負荷を与えながら暮らしているのでは…と。

さらに、子どもが生まれた病院で読んだ、農文協の「地球のくらしの絵本 全5巻」(著者:四井 真治)がとてもおもしろく、その中にパーマカルチャーについて触れられていました。

ーーーどのような本だったのでしょうか?

「地球のくらしの絵本」の第3巻に、とても印象的な言葉がありました。

「食べものを通して環境とつながっている生きものの血管は、地球を流れる川のつづきみたいなものだ」

この一文を見て、ああ、自分は地球の流れの一部なんだなと感じました。

さらに続く言葉の中に、人間が自然の中に暮らすことで、川から水をひいて、田畑に水を集めたりして、水を利用することによって、それがひいては、他の生き物の住みかになる、ということも書かれていました。

そう思うと、人間も、自然の中での役割があって、自然を豊かにすることができるんだと気がつきました。

ーーー人間も他の生き物も、お互いに支え合いながら共生できたら、とても素晴らしいことですよね。

人間が生きていることで、他の生き物にとっても、豊かな生育環境がつくれるのだと思うと、自分はそういう暮らしを選択したいと思います。

自然に負荷をかけない暮らしに転換したい

ーーー野食もきっかけがあって、そこを目指すことにされたのですか?

これって食べられるのかな?と調べたサイトがありました。

ざざむし。」というサイトなのですが、これも食べられるのか!!という衝撃と発見があり、そのときにこの食文化にプラスして、パーマカルチャーを取り入れたら、すごいことになるのではと実践をはじめるようになりました。

ーーー実際に野食やパーマカルチャーを取り入れ始めて、なにか気持ちの変化はありましたか?

自然環境に配慮していないことに対して、とても敏感になりました。

気がつきやすくなったというか。

たとえば、自分の暮らしの中でも、ここを変化させたいなとか、具体的にいうと「ここをこうしたらトンボがもっと増えるかな」とか、そういったことを考えるようになりました。

ーーーもともと虫も好きだったんですか?

実は、そうではないんです(笑)

毒ヘビとか、排泄物、ドブ臭さとか、とにかく汚いものは怖いという気持ちがありました。

嫌だと思うこともあるけど、それと関わっていく覚悟ができたというか、適度に怖がれるようになったと感じています。

ーーーそれは意外ですね。パートナーもそういった西谷さんの活動には賛同というか、協力的ですか?

そうですね。妻ももともとそういうことには興味があるので、楽しんでくれていると思います。

ーーー今後の目標や、具体的に野食とパーマカルチャーに関してやりたいことを教えてください!

とにかく快適に、楽に「パーマカルチャー」と「野食」を楽しんで実現できる場所をつくるのが、生涯の目標です。

人間が使った養分が多すぎる水は、そのまま自然に還すのではなく、少しずつ養分を減らしながら野菜や山草なども栽培しつつ、最終的には下水がきれいな状態で、自然に還せるようなことをして、最後まで水資源をフル活用したいです。

具体的な形としては、排水を浄化するような装置として「バイオジオフィルター」を作ってみたいと思っています。

ーーーバイオジオフィルターとはどんなものになるのでしょうか?

幅90cmほどの溝を掘って、その中に防水シートを敷きます。

そこに、軽石を敷くのですが、軽石は小さい穴が多数あるので、そこに微生物とかが住めるようになるんです。

そのシートの上に軽石を置いたら、あとはそこに水を流せば、だんだんと生活排水がそこを通ることで、浄化される仕組みなっています。

その浄化されるまでの養分の多さを考えながら、栄養が多く必要な野菜には最初の養分が多い上流のところで栽培をしたり、逆にワサビなど浄化された水が適した植物などは、下流のほうのきれいになった水を活用できるというシステムです。

参照:池とバイオジオフィルターを作りました

ーーーとてもおもしろそうですね。生きるために必要な水を排水後のことまで考えて、最終的には、ちゃんときれいな状態に戻して自然に還す。これが実現したら、今の自然がずっと後世に引き番れていくんだろうなと思います。ありがとうございました!

この地域の自然を守るために

西谷さんちの薪棚。薪風呂や薪ストーブの燃料として活用されている

今回、西谷紅葉さんのお話を聞いていて、こういう自然に寄り添う暮らしをされている方がいる限り、この地域のうつくしい自然は保たれていくんだろうなと感じました。

嶺北地域の各エリアでは清掃活動などもたびたび行われていますが、このうつくしい自然は、地元の人たちの努力があってのもの

都市部に暮らしていると、自然から遠いがゆえに、なかなか下水の先のことを考えることもありませんが、このあたりは下水は直接川へ流れていく地域がまだまだ多いので、自分たちが使ったあとの水のことって他人事では済ませられないんですよね。

そんな生きる上で必要な「水」について、改めて考えさせられる機会でした。

自然に囲まれた暮らしがしたい、そこから考えて、今行動に落とし込んでいる西谷紅葉さんの今後の暮らしはますます目が離せません。

西谷紅葉さんは「あ!やせいのせんぎょうしゅふがあらわれた!」という個人ブログやTwitterで、野食やパーマカルチャーについての発信もされています。

ぜひこちらもチェックしてみてください。

このメディアの運営者

田舎ディベロッパー君

高知県嶺北地方をPRする『れいほくTV』の編集長 普段は、藤川工務店で田舎を開拓する仕事に幅広く従事! 好きな食べ物は、『きゅうり・キウイ』などミドリの食べ物。 冷静沈着に淡々と事を進めるのが得意。

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