「林業」ってどんな仕事?現場に密着して話を聞いてきた!

突然ですが、日本で一番森林が多い県は何県か知っていますか??



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実は、当メディアがPRしている高知県なのです!(林野庁HPより/H29年)





そんな、日本一で一番森率が高い高知県ですが、実は林業で深刻な人材不足が起きています。

というのも、戦後復興のため、政府が「拡大造林政策」として、スギやヒノキなどの経済的に価値の高い木の植樹を推進してきたのですが・・・。

当時植え付けをした木が、50年前後経ち、ちょうど収穫期を迎えているのです!

そこで、林業の担い手を増やそうと、本山町では地域おこし協力隊の林業振興活動員を2021年より毎年募集をする予定です。

そんな募集を受け林業に興味を持った方もいるかもしれませんが、「林業」と聞いてどんな仕事なのか想像できる人は少ないですよね。

と、いうことで・・・!

今回は。林業振興活動員の2期生として働かれていた立川真悟さんに「林業ってどんな仕事なのか?」詳しくお話をお聞きしました!!

「林業」を仕事にするという生き方

気さくな雰囲気が素敵な立川真悟さん

立川 真悟(たちかわ しんご)さん

1994年、高知市出身。小学生のころから自然が大好き。東京農工大学の地域生体システム学科、森林科学卒。新卒で、本山町地域おこし協力隊の林業振興活動として3年間、林業の技術取得をしたのち、現在は本山町役場の林業専門職員として勤務中。副業として今も林業現場へ出向いている。愛称は「おいしんご」。

今回、取材させていただいたのは、立川真悟さん。

新卒で、本山町地域おこし協力隊の林業振興活動員として3年間働いた後、今は本山町役場の林業専門職員として働いています。

さらにそのかたわら、今も林業現場で働くことを大事にされていて、休みの日には、地元の若手林業グループの現場へ出向き、山仕事もしています。

そんな立川さんの2パターンの林業仕事のタイムスケジュールがこちら!

【林業専門職員としての日】

8:30 仕事開始

12:00-13:00 昼休憩

17:00 仕事終了

林業専門職員として働く日には、事務作業がメインとなりますが、実際に現場へ出向いたり、研修に行くことも。

つづいては、林業専門職員としてはお休みの日で、若手林業グループへ作業員としてアルバイトへ行くとある日のタイムスケジュールです。

【林業の現場作業員としての日】

7:40 自宅出発

8:30 間伐作業、搬出

(途中昼休憩)

17:00 終了

山仕事の日は、毎回やることが違いますが、間伐作業(※)と伐った木を売りに出しにいく作業が多いです。

※間伐…成長の途中で、過密になった木々の中から適切な生育環境にするための伐採作業。伐採はチェーンソーを使用。

本山町地域おこし協力隊としての活動

協力隊時代に行った下刈りの様子
引用:立川真悟さんの運営ブログより

ーーー地域おこし協力隊の林業振興活動とはどのような仕事をされていたのでしょうか?

地域おこし協力隊の3年間、大きく分けて2つのことを行なっていました。

1つは「間伐作業」と呼ばれる、木を大きく育てるための間引き作業です。

現場は、森林組合の下請けをしたり、知人に紹介してもらった山林を施業させてもらっていました。

そして、もう1つは「研修」。

林業は安全に作業を進めるために資格取得が必要で、それらの資格講習会や、技術研修、若手林業グループの方々が自伐型林業の講習会を行なったりしていたので、そういった研修に参加をしていました。

ーーー研修って具体的にどんな研修があるのですか?

地域おこし協力隊としては、県外へ2回、研修へ行きました。

奈良では、岡橋さんという講師の方に作業道の作り方を教わったり、三重では「速水林業」という林業会社へ5日間ほど研修へ行ったこともあります。

ーーー林業も奥が深そうですね。自伐型林業という言葉が出てきますが、林業はいろんな形での働き方があるんですね。

大学時代から「自伐型林業(※)」に関心があったことから、地域おこし協力隊の任期中の大半はそういった形で施業をしてきました。

自伐型林業(じばつがたりんぎょう)とは

採算性と環境保全を高い次元で両立する持続的森林経営です。
参入障壁が非常に低く、幅広い就労を実現します。
今、国土の7割を占める山林を活用する「地方創生の鍵」として期待され、全国各地で広がっています。

自伐型林業推進協議会HPより引用

しかし、3年目からは少し方向性を変えてみました。

今までとはちがった林業の形も学ぼうと思い、大型の高性能林業機械も活用した、町内の個人で林業を営まれている方のもとで、半年ほど勉強させてもらいました。

林業はただの肉体労働ではない

樹上伐採の講習会の様子
引用:立川真悟さん運営ブログより

ーーー地域おこし協力隊の林業振興活動を3年やってみてどうでしたか?

3年やれば一通りのことができるようになったと感じています。

それと同時に、林業は肉体労働という側面もありますが、一方で、とても繊細な仕事が求められる仕事だなとも思いました。

ーーー繊細な仕事…というと?

林業をはじめる前までは、大きな機械を使ってガンガンやるのかと思っていたのですが、現実は全然違っていました。

たとえば、木を伐るという1つの行為をみても、チェーンソーの切り方が数センチ狂うだけで、伐倒方向も大きく変わります。

ショベルカーなど重機を扱うときも、ツメが木を傷つけないようにするには、機械操作を丁寧にしないといけなかったり、注意力が求められます。

他にも、作業の段取りを考えながら行う必要があったりと、頭を使う仕事だと感じています。

「林業専門職員」という働き方

林業専門職員になってからは、こんな資格も!
引用:立川真悟さん運営ブログより

ーーーそれは確かにやってみないとわからないことですね…!協力隊卒業後は何をされているのでしょうか?

今は本山町役場の臨時職員の、林業専門職員として働いてます。

月16日の勤務で、副業可能なので、若手林業グループの現場へも出向き、作業員としてアルバイトもしています。

ーーー行政としての仕事もやりながら、現場へも行く。なかなかお忙しそうですね。

実は、地域おこし協力隊を卒業するときに、ギリギリまで現場作業員として働く道も考えていました。

しかし、ちょうど協力隊3年目のときに、国から「森林に関することに使ってくださいね」というお金が自治体に入ることになりました。

森林環境譲与税」というものですが、行政もその使い道に悩んでいることをみて、大学時代に培った学問的な知識と、さらに協力隊3年間で身につけた現場経験を活かして「何かチャレンジングなことができるのでは…!」と町役場と掛け合ったんです。

その結果、今の林業専門職員として雇ってもらえることになり、広い視点で本山町の林業の管理を行っていけたらと思って、日々活動をしています。

立川さんの思い描く、本山町の山林のこれから

立川さん愛用のチェーンソー

ーーー現時点では、本山町の山がどういう形が理想だと思われていますか?

今の本山町はスギとヒノキが植わっている「人工林」が多くを占めているので、もっと多様性のある森林にしていけたらと思っています。

本来、森はもっと多様な恩恵を与えてくれる場所です。

山主さんにとっても、林業従事者にとっても、地元民にとっても、観光客にとっても、動物にとっても、みんなにとって豊かな山をつくっていく方向性でやっていけたらと考えています。

ーーーすごくワクワクしますね。林業専門職員として1年目を終えられたところですが、どんな1年でしたか?

山主さんに「今後、持ち山をどうされますか?」といった内容のアンケートを一部地域の方にお送りし、町に管理を委託することもできるとお伝えした上で、「是非お願いします」と言ってくださった方に対しては、その権利を委ねてもらえるように、取りまとめていました。

他には、ずっとやりたいと思っていた「本山町の森林・林業のビジョン」をつくることも決まり、そのためにも動き始めています。

これにより場当たり的に林業政策を行うのではなく、長期的にみて、持続可能な森林管理行政を形にしていけたらと考えています。

ーーースケールがとても大きい話に聞こえますが、とても大事なことですよね。ちなみに管理委託された山はどのようになるのでしょうか?

「ゾーニング」とも呼ばれますが、ここの山林は災害に強い山にしようね、そしたらこの別の山林はもっと子どもたちが入って遊べるような山にしようね、など山ごとに役割を決めていく予定です。

エリアごとにどのような森を目指していくのか、それぞれの山にあった最適な整備計画を立てて、それを実践していきます。

その計画によって、これだけの面積であれば、林業従事者はどのくらいいたらいいのかなどの具体的な数値も明らかになります。

そのためにコンサルの方にもお願いしながら、現在進めています。

ーーー林業専門職員は本当に幅の広い仕事ですね。

そうですね。

先にお伝えした以外にも、林業のスキルアップ講習会の開催も昨年から行っています。

この講習会を通じ、林業従事者を増やし、さらには林業に就く方々がより安全に作業できるように町としてサポートをしていこうという趣旨です。

ーーー素晴らしい取り組みですね。立川さん自身、林業現場へ出るのはどういった意味合いがあるのでしょうか?

現場の人と汗をかく時間も大事だなと感じるんですよね。

現場と学問との距離をつなぐためにも、現場へ行ける時は出向いて作業をし、森を活かして、森とともに生きることができるように、形にしていきたいと思います。

ーーー本当に素晴らしいご活動だと思います。今後の展望があれば、ぜひおしえてください。

今後、本山町は毎年3名ずつ地域おこし協力隊を募集する予定です。

林業は危険も伴う仕事なので、徹底した林業教育を行い、安全に作業をしてもらえるようにサポートを行っていきたいと考えています。

その方々が本山町の林業の担い手として、活躍してくれたら嬉しく思います!

ーーー林業の担い手が増えることで、よりよい山になっていくといいですよね。今回はありがとうございました!

参照:本山町地域おこし協力隊(林業振興)を募集します!/本山町役場

本当は大事な「山」の存在

今回、立川さんの取材をした中で、とても印象的だった言葉があります。

誰かひとりだけのためではなく、みんなにとって、居心地のいい森を目指したい

自然が大好きで、自然とともに生きることを選んで、行動してきた立川さんだからこそ紡ぐことができる、多くの方に共有したい言葉だなと思いました。

身近にある山ですが、実は知れば知るほど、日本の山は整備が行き届いていないことがわかります。

立川さんをはじめ、本山町に暮らしている方々が、住民目線で「こんな山になったらいいな」が実現されていきそうで、これからの本山町の山林には目が離せません…!

どんな森づくりが行われていくのか、100年後の本山町の風景が楽しみです。

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