大豊町の教育改革について、聞いてきた!保育所・小学校・中学校を1つに!?【大豊学園】

2022年から本格的にはじまった、大豊町立大豊学園

建物が新しく生まれ変わるだけでなく、小中一貫教育として、前期課程5年、後期課程4年制の義務教育学校として始動します。

2016年の改正学校教育法により、往来の「6・3」制(小学校6年間、中学校3年間)の区切りを柔軟に設定できるようになり、9年間を通じた教育課程を、地域の特色や系統を活かして編成できるようになりました。

その法律を活かし、大豊町では今からさかのぼること6年ほど前から、今の「6・3」制の区切りを変更しようと検討されてきたといいます。

今回はそんな教育過程の方針変更に関して、大豊町教育委員会の方々にお話しを直接伺いました。

これから大豊町、れいほく地域に移住を考えられている方はもちろん、こんな取組があるのだなと知るだけでも興味深い事例だと思いますので、最後までぜひご覧ください。

9年制の義務教育学校「大豊学園」

大豊町立大豊学園

中村大王地域にできた、保育所施設、9年制の小中一貫の義務教育学校施設。給食調理場も施設内に新設。
「大豊を心に刻み、未来の夢実現に向け自立・貢献できる人」をキャリアビジョンとしてカリキュラムが編成されている。

今までの教育施設と、新しい「大豊学園」何が変わるの?

今回は大豊学園の教育方針や、どのように教育体制が変わるのかについて、紹介していきたいと思います。

まずは、今後の義務教育学校の方針から。

小学校と中学校をひとつの義務教育学校として、9年間を見通した教育を行うために、来年度(令和4年度)より前期過程(1年生〜5年生)と後期過程(6年生〜9年生)の2つに分けることになりました

小中一貫教育が求められている背景として、校高学年段階における子供の身体的発達の早期化、教育内容や学習活動の量的・質的充実への対応や中学校への進学時に、新しい環境での学習や生活に不適応を起こす、いわゆる「中1ギャップ」と呼ばれる現象に対応する等があります。

そんな課題を解決するためにも、そのギャップをなくす施策として、小中一貫教育教育制度を導入する行政も増えています。

9年間を見通した教育を行うことにより、段階的に体制を変えて、子どもたちの負担を軽減し、学校生活を送ることができます。

指導体制を例にご説明すると、今までは小学校は学級担任制、中学校になると教科担任制…と明らかな体制の変化がありました。

これを大豊学園では、5年生までは往来通りに学級担任制を導入。

5年生から6年生にかけてゆるやかに教科担任制に切り替えながら慣れていき、7年生からは教科担任制に切り替える…といったように、突然体制を変えてしまうのではなく、子どもたちも変化についてきやすいように考えられています。

そのほかにも、さまざまな教育方針が編成されているので、その一部を順次ご紹介していきます。

大豊町で暮らしながら、学ぶ。

大豊学園のカリキュラムには、2つの大きな柱があります。

それが「英語教育」と「地域を学ぶ生活科・総合的な学習の時間」(おおとよ家)です。

後者は、大豊町に住まわれている方々にも協力してもらいながら行われる地域学習。

地域と向き合いながら、自分という一人の生き方を考える時間も持たれていく予定です。

さらに、実践的なカリキュラムによる大豊型英語教育というのも、注目すべき点のひとつ。

大豊の英語教育は、9年間の外国語(英語)教育を軸にし、自分のまわりの社会や世界と関わり、真のコミュニケーションを図る中で、英語力を育んでいきます。

英語でのinteraction(やりとり)を通して、他者との違いに気づき、自分と異なる見方・考え方があることを理解し、他者の考えから自分の考えを再構築するなどして、多様な価値観を創造し、互いに理解しあえる世界を広げていく、人間力の基盤となる全人教育としての英語教育の推進というコンセプトなんだとか。

通常は3年生から週1時間の英語教育があるそうですが、大豊町では1年生から週1時間の英語教育を導入。(2021年10月現時点)

さらに、オーストラリアのヘリベリー校との連携、国際交流事業や高知大学との連携をはじめ、希望者はオーストラリアでの海外研修(9年生)があったりと、英語を通じた学びは重点的に設計されています。

またEnglish Campと名付けられた、異学年交流ができる取組も掲げられているので、そういった取組も今後子どもたちがどのように感じて、吸収していくのかが楽しみです。 

大豊町教育委員会の方に聞いてみた

今回、ご説明くださった大豊町教育委員会の皆様

今までは、そんな今後の大豊町の義務教育学校で実践されていく、注目すべきカリキュラムなどをご紹介してきました。

そんな学校は一体いつからはじまるのか?そもそも何で建て替えられることになったのかなど、直接お聞きしてきたので、ここからはインタビュー形式でお届けします。

—新校舎、園舎ができましたが、こちらはいつから使われる予定なのでしょうか?

義務教育学校として使う校舎は、令和4年の4月から「大豊学園」としてスタートします。

保育所は、令和4年の1月11日より使う予定をしています。

—今回新しくできたのは、保育所、小学校、中学校ですか?

そうですね。それに加えて、給食調理場も移転新設いたしました。

今までは別に給食センターがありましたが、建物の老朽化もあり、今回すべての施設が統合し、その中に給食調理場も入りました。

—今回、保育所、小学校、中学校のすべてを、この中学校敷地内に移転新築したのはどのような経緯だったのでしょうか?

建物の老朽化、また保小中一貫教育をより推進するため「施設一体型」を基本構想検討委員会を設けて、地元、議会、保護者の皆様方の理解を得ながら、話し合いを進めてきました。

—新しい校舎、園舎ができ、最後に教育委員会の方から一言あればお願いいたします!

子どもたちは町の宝でもあります。

今後たくさんの子どもたちが新しい施設で、やさしく、かしこく、たくましく、立派な子どもに育ってほしいと願っています。

—そうですよね。新体制となり、木のぬくもりを感じる、この空間で、地元の愛情にも育まれながら、すくすくと大きくなってほしいですね。

この学校で学び、心の拠り所となることを願って。

町産材を使い、素敵な設計、施工をもとに完成した大豊町の「大豊学園」。

今後この場所で、子どもたちが多くのことを学び、その学びが一人一人の心の中に刻まれ、大豊町が「心の拠り所」となることが望まれています。

大人になった今、過去を振り返ってみると、学生時代に培った思い出や学び、記憶は、大人になっても自分の原点のように感じる機会がある方もいるのではないでしょうか?

みんな昔は子どもだったからこそ、大人になったいま、子供たちのために思い出に残るような教育機会を提供していきたいと思いました。

「大豊学園」では、自然・文化・歴史・地域資源・人・生き方の6つのキーワードをもとに、経験を積み重ねていく教育プログラムが組まれています。

子どもたちは未来を創っていく明るい存在であり、人が生きていく上でいずれも欠けてはならない大事な要素を、子ども時代からたくさん学び、自分軸を形成していってくれることを願っています。

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